「真正な登記名義の回復」案件
お客様よりご相談のあったケースです。
お客様Aは、自分で資金を出しておらず、会社社長が資金(現金)を捻出して不動産を取得されたケースです。所有権の名義人はAですが、不動産取引の際に会社社長も同席され、Aの銀行口座を通さずに現金決済となっておりました。別に資金の出所は構いませんし、残代金の決済が行われれば司法書士は所有権移転の登記を行います。
しかし、A名義の不動産を担保に融資が出来るかというのは別問題となります。Aも実質の所有者は会社社長と言っておりますし、もしご融資後、当社とトラブルになった場合に、相手方には「真正な登記名義の回復」という手段をとると、抵当権が外れることになり、実質無担保融資となります。会社社長を連帯保証、連帯債務者にしてはどうか?とも相談されましたが、当社は不動産担保ローン専門会社ですので、実質の所有者である名義人が抵当権設定者として契約できない場合には取引が出来なくなります。抵当権が外れても債権、債務は残りますが、真正な担保提供者では無いので、無担保融資になる恐れがあるからです。
知人の不動産業者も相続登記を信用して取り引きしましたが、後にその相続登記に誤りがあったとのことで、真正な登記名義の回復で所有権を失うことになったケースもあり大損害となりました。また、登記後10年以上が経過しているにも関わらず、最高裁で所有権の係争中との事案もありました。係争中との情報は登記簿謄本には記載されないので(仮処分の登記でもあれば別ですが)困ります。
所有権移転、相続登記したばかりの案件は要注意とみなされることになります。場合によって、登記を担当した司法書士に対するヒアリングも必要となるケースがありますので、ご注意下さい。