同じ敷地内に二つの建物を建てる場合
既存住宅がある敷地内にもう一軒家を建てようと考えた場合、残念ながら、同じ敷地内に同じ用途の建物を2戸以上建てる事は出来ないため、異なる用途の建物を建築するか、敷地を分割、分筆をして建築する事になります。最近、身近でこのようなお話がありましたので、今回は、同じ敷地内に2つの建物を建てる場合について調べてみようと思います。
既に建っている建物の他に、空いたスペースに子供夫婦が新築を建てようとするケースがあると思います。しかし、建築基準法で「一敷地、一建物」と原則的に決められているため、いくら大きな土地だったとしても、一つの土地であれば2つの建物を建てる事は出来ません。そこで考えられる手法が以下の通りです。
既存住宅と異なる用途の建物となると、既に居宅がある場合は、居宅が建てられない事になります。用途としてOKな例として、物置、車庫などが挙げられますが、住むといったイメージが沸きにくいです。どうしても同じ敷地内に新築一戸建てを建てたいとなった場合には、既存住宅と新築住宅を渡り廊下等でつなげるといった方法があります。渡り廊下でお互いに行き来が出来る造りであれば、既存住宅の増築扱いとなります。独立した住宅ではなく、あくまで増築なので、2世帯住宅という事になります。渡り廊下というと、ウッドデッキ等でつなげばOKなのか?という事も考えられますにもなりますが、渡り廊下は壁と屋根に囲まれている必要があるようなので、簡易的な廊下ではNGという事になります。
また、既存住宅の「離れ」として建築するという方法もあります。住宅と判断される基準は、キッチン、トイレ、お風呂が揃っているかどうかという点なので、この中の一つでも作らないとするなら、既存住宅の「離れ」として新築をする事が可能のようです。しかし、水回りとしてどれも生活に必要な設備であるので、どれか1つを作らないといった選択はかなり難しいと思われます。
2世帯住宅より独立した住宅が欲しいといった場合は、敷地を分割する必要が出てきます。分割するラインは、既存住宅をまたぐ事は出来ないので、どのように分割するかが問題です。土地の分割とは、登記上は1つの土地のまま、設計者が任意のラインで敷地を分割したと仮定し、分割された2つの敷地に対してそれぞれの建物が建築基準法に適合していれば新築建物が建築可能になります。この場合、土地の登記の変更等はないですが、既存建物が適法になるかどうか、道路への接道の長さや建蔽率、容積率の制限などがチェックされる事になります。
また、新築物件建築の際には住宅ローンを組む事になると思いますが、その際は土地を担保にローンを組む事になり、分割ラインではなく、土地全体が設定される事になりますので、注意が必要になります。
土地を分筆しても、建物の所有者と土地の所有者が異なる場合には、土地の使用権原(利用権)について契約を交わす必要があります。使用貸借の場合には担保設定に難色を示す金融機関もあるので要相談ですね。
一つの土地に二つの建物を建てる場合、お互い独立した住まいが希望であれば敷地を分割して新築するといった方法が一番だと思います。もう一方は、二世帯住宅といった意味合いが強く、それぞれの家庭の距離感にもよりますが、お互い気を使っての生活になりそうです。いずれにしても将来的な計画を含め、慎重な検討が必要になると思います。