保育施設としての土地活用
近年、土地活用の方法のひとつとして、保育園事業を検討される方が増えていると言います。土地活用というと、一般的には、マンション、アパート、駐車場の経営が挙げられますが、保育園事業も選択支に入ってきたと言う事で、子供を持つ家庭、またこれから子供を迎える予定の家庭にとってはとても嬉しい変化だと思います。
待機児童の問題は以前からも挙げられてきましたが、最近のデータにおいても、待機児童数は1万人を超えており、まだまだ子供の受け入れ先である保育施設が十分とは言えない状況です。2020年4月時点、待機児童数が過去最少を更新したといったニュースもありましたが、保育料無償化もあって、保育のニーズが更に高まってきているようですし、政府が掲げている待機児童ゼロという目標にはまだまだ遠いように感じます。
保育園事業とは、アパートやマンション経営とは異なり、保育園運営業者に対して土地や建物、またはその両方を長期間一括で貸す事になるので、安定した収益を見込めるといったメリットがあります。また、マンションや駐車場など、商業地域である必要もなく、人通りが多くない場所でも設置出来る可能性があるので、土地活用をしたくても需要がないと思われていた土地においても、使い道が見えてくるかもしれません。
また、保育園事業には補助金制度も整っています。エリアによっては、保育園建設費用の補助や、固定資産税や都市計画税の減免措置を行っているケースもあり、マンションやアパート経営とは違う魅力を感じます。また、保育施設が増えるという事は、地域の待機児童問題の解決にも貢献出来るという事なので、貸主としてはやりがいも感じられるかもしれません。
一方、保育園事業をするにあたってデメリットもいくつかあります。まずは、貸したい土地があっても、全ての土地で保育園が出来る訳ではないという点です。現在、自治体の認可を受けて運営をされている保育園については、最初から自治体が設置する場所を指定している場所がほとんどです。せっかく土地を所有していても、保育園を設立するまでにはそこが保育園に適しているかどうか様々な調査が行われる事になりますので、準備期間としてある程度時間を要する事になりそうです。また、保育園の設置には近隣とのトラブルが起こる可能性もあります。住民の中には、子供の声による騒音、保護者による送り迎えの最の近隣の交通渋滞等、今までなかった環境の変化が起こる事になるため、保育施設開園を快く思わない方もいらっしゃるのが現状です。事前説明やトラブル対応については、運営会社が対応してくれるので、貸主としては、全てお任せする事になると思いますが、運営開始後もトラブルが続いてしまうのは気持ちの良い事ではありません。ご所有の土地が保育施設に適していたとしても、近隣からの反対の声が多ければ、子供を預ける親御さんや子供自身も不安になりますし、そうなれば、保育施設建設の計画自体見直しや白紙になる可能性も出てくるとの事です。
以上、保育園としての土地活用をまとめてみました。保育施設は、小さな子供たちを受け入れる施設という事もあり、細かな制限がかけられているため、どこでも開園出来る訳ではありません。しかし、土地活用の一つとして、保育施設も候補に入れてもらえれば、保育施設の増加や、行く行くは保育施設に余裕が出るといった環境も実現出来るのではないかと思います。