敷地利用権の無い区分所有建物について
関連会社で聞いた敷地利用権の無い区分所有建物の事例です。
その建物は築40年を経過する古いマンションの一室で当初は1棟同一の所有者でした。過去のある時期に、1棟をいくつかに区分して売却し資金調達をしていた経緯がありました。その区分の際に1戸だけ敷地利用権の無い建物が生じて現在に至っておりました。その他の区分所有者は土地の共有という形態で利用権を建物と共に所有している状態です。
ところが、その土地の共有持ち分がない建物が不動産競売を申し立てられて、結果として第三者が落札し所有権の移転登記が建物にだけ行われました。ところが建物の区分所有等に関する法律第10条に「敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる」とあります。その法律を根拠にその落札した新所有者は、他の区分所有から売渡請求を受け、時価相当額で物件を手放すことになりました。落とし穴ですね。
しかも、競売の物件情報が記載されているBITとよばれる3点セットには、その区分所有法第10条の記載が無く、買受人に対する注意喚起が全くありませんでした。恐ろしい限りです。
昭和58年の法改正で50戸以上の区分所有建物は登記官の職権で敷地権登記がなされましたが、上記の物件は50戸に満たなかった為、そのまま土地の共有持ち分という状態となっておりました。
古いマンション購入の際には、敷地利用権として所有権(共有)、地上権、借地権がその建物と一体となって取得できるかしっかり確認してください。安いからと言って飛びつくと大変危険です。
不動産担保ローン株式会社では古いマンションでのご融資も積極的に取り扱っております。敷地利用権が借地、地上権の場合には追加資料をお願いするかとは存じますがご協力くださいます様お願い致します。当然ですが、敷地利用権が無い場合には取扱い不可となりますので、予めお伝え致します。