事故物件と告知義務の期間について
事故物件は購入したくないですね。しかし、「安く住みたい」、「安く買って賃貸に出したい」という方もいるので価格によって流通性はあります。ここで、売主、貸主、仲介業者の告知義務違反の事例についてまとめました。
売買物件の場合
事故物件の売買は賃貸より厳しいです。土地を買って家を建てて住むといった場合には尚更です。ここで20年以上前の自殺事件について媒介業者の説明義務が認められた例を紹介します。
【事件の概要】H20年12月、X(個人)がY(宅建業者)の仲介で個人から住宅建築を目的として土地を購入。その土地はかつて別人が所有していたものであるが、昭和63年にその家族がその土地上にあった建物内で自殺する事件があった。建物は取り壊され、更地のまま譲渡された。買主は土地の売買決済直後に事件を知り、媒介業者Yに対し説明義務、調査義務違反を理由に損害賠償請求を提起したもの。
裁判所の判断は、事件から25年経過しているが、近隣住民の記憶に残っている状況下で、あえてXは本物件を選択するとは考えにくい以上、媒介業者が契約締結後、決済までの期間に事件を認識していたのであれば説明する義務があるとして、慰謝料の支払いを命じた。(H26.6.19高松高判)
事件経過後25年という期間ですが、ここでは近隣住民の記憶に残る事件であったことがポイントとなっている模様です。
賃貸物件の場合
【事件の概要】Yが平成23年に競売でマンションの一室を取得した後、前所有者が物件内で自殺した。その後、平成24年にXに建物を賃貸した。そしてYが引越直後に、マンション内の住民より自殺事件のことを聞き、直ちに物件から退去した。そしてXはYに対して不法行為に基づく損害賠償の支払いを求めて提訴した。
裁判所の判断は、1年以内に事件があった物件は、賃貸借契約において、その事実を告知すべき義務があるとして、故意に告知しなかったことは不法行為を構成するとして賃料、礼金・保証料・慰謝料・弁護士費用の支払を命じた。(H26.9.18大阪高判)
事故1年以内なので当然という判決です。
賃貸物件の場合、自殺により亡くなられた方の相続人や保証人に対して、貸主・物件所有者が損害賠償を請求するケースがあるようですが、裁判所の判断は「2年間の賃料減額分相当額である」判決や「50年分の賃料減額相当額である」判決が出されるケースがあるようです。一概に言えませんが、賃貸用不動産で住民の入居、転居が多い物件は損害賠償額が低い傾向にあり、住民の滞留年数が長い物件では損害賠償額が高いのではないか?との説があります。
また、事件経過後、告知義務が何年あるか、いつまで説明義務があるのかは明確な判断基準がありません。売買の場合は近隣住民の記憶が相当薄れるまで、賃貸物件の場合も同じアパート、マンション内の住民の記憶が薄れるまででは?という説がある程度です。
告知義務違反は宅建業法47条により厳しく罰せられますので注意が必要です。販売図面の備考欄に小さく「告知事項あり」と記載されている物件が事故物件ですのでお気を付け下さい。
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