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賃貸物件で借主が死亡した場合

2016/10/27 カテゴリ:estate,loan

賃貸用不動産に関するトラブルの例です。

借主が病気や高齢でお亡くなりになる場合があります。その場合でも契約終了とはならず相続人が賃借人の地位を承継します。その為、賃貸人は相続人に引き続き物件を借りるかについての確認をしなければいけません。ここで問題になるのが、相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄して残置物の処分をする者が居ない場合です。

賃貸借契約を解約して、明渡と残置物の処理を行う為には、相続財産管理人選任の申立てを行い、手続きを粛々と進めていく他ありません。しかしこの手続きには時間を要します。(相続財産管理人選任について・裁判所HP)

1 家庭裁判所が相続財産管理人選任の公告

2 1の公告から2か月経過後、債権者・受遺者を確認するための公告

3 2の公告から2か月経過後、相続人を捜すために6か月上の期間を定めて広告

4 3の公告から3か月以内に特別縁故者に対する財産分与の申立てがある場合がある

5 財産管理人は法律にしたがって被相続人(亡くなられた方)の資産を売却し金銭に換えることができます。

6 債権者や受遺者へ支払いをし、特別縁故者に対する財産分与の手続き

7 6の支払をして財産が残った場合には国庫に引き継いで終了

どのタイミングで残置物を処分できるか、賃貸借契約を適法に解除できるかはケースによって異なりますが、かなりの時間を要することが分かります。この間の賃料債権が未収になることも想定できます。

連帯保証人やご遺族にこれらの明渡、契約解除、残置物の処理をお願いするケースが大半と思われますが、適法に行うには相続人全員とこれらの処理を行う必要があります。相続人と連帯保証人が同一であれば助かりますが異なる場合にはやはり適法な処理とは言い難い状況です。

最近では実務上「死後事務委任契約」を締結し、受任者に対して「契約解除、明渡、残置物の処分」をお願いするケースが出てきているようです。この死後事務委任契約は老人ホームや病院で利用されているとの事で、今後の高齢化社会において賃貸借契約書に必要な条項となってくるものと考えられます。

 

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