インスペクションで中古住宅流通市場がどう変わるか
インスペクションで中古住宅流通市場がどう変わるか
インスペクションとは、建築士等の検査人が「住宅検査」や「建物診断」を行うこと。「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が2016年5月に国会で可決成立し、改正内容にインスペクションに関する内容が盛り込まれました。
まず、宅地建物取引業者に対して何か変わるでしょうか?
- 既存の建物の取引における情報提供の充実(2018年4月1日施行)
宅地建物取引業者に対し、以下の事項を義務付けになります。
- 媒介契約の締結時に建物状況調査(いわゆるインスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付(第34条の2)
- 買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明(第35条)
- 売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付(第37条)
- 消費者利益の保護の強化と従業者の資質の向上(2017年4月1日施行)
①営業保証金制度等による弁済の対象から宅地建物取引業者を除外します
②事業者団体に対し、従業者への体系的な研修を実施する努力義務を賦課します
宅地建物業者としては、書類のわずらわしさ・タダ働きのリスク・売主と買主の板挟み、などがから嫌がることが多いということですので、それは理解した上で、ホームインスペクションを押切りたいところであります。不動産って高い買い物ですからついつい感情的になったり、懐疑的になったりしますが宅地建物取引業者のことも考慮した上で、正しい行動をしていった方が、後々のトラブルも大きくなりにくいと思います。どちらにせよ、中古物件は特にホームインスペクションをした方がいいでしょう。
次、買主に対して何か変わるでしょうか?
買主側の「この物件を買っても大丈夫なのか=瑕疵はないのか」「あと何年くらい住めるのか」「将来の修繕費用はどれくらいかかるのか」などの不安についても実際に調査してその結果を確認することで、その多くに目安や改善策が提供される可能性が高まるでしょう。
インスペクションは、中古住宅を売買する際に建物の現状について目視を中心に調査(一次調査)するという一見シンプルな業務ではあるが、その調査が実施されることによって売主にも買主にも、もちろん仲介業者にも取引の安全を担保するものとしての機能があることがわかる。あとはその物件調査が売主、買主、仲介業者それぞれの“思惑”とは切り離された客観性の高いものであるかどうか(もしくは誰がコストを負担してインスペクションを実施するか)という点がポイントになるでしょう。
今回の宅建業法の改正は小さな一歩かもしれないですが、中古住宅流通に劇的な変化をもたらす可能性のある一歩でもあると思います。今後の中古住宅流通市場の変化を期待しています。
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