共有者名義のメリット・デメリット
不動産を購入すると、所有者の権利を登記する必要がありますが、登記の種類には単独名義と共有名義の2種類があります。最近では共働き家庭が増えているため、夫婦でお金を出し合ってマイホームを購入するケースが多くなっていると思うので、共有名義の登記も増えていると思われます。そこで今日は共有名義にした場合のメリット、デメリットを調べてみようと思います。
まず夫婦共有名義とは、夫婦でお金を出し合いマイホームを購入した場合、出資をした額の割合に応じて所有権の持分を登記するという事です。例えば4,000万円の住宅を購入した事にします。夫が500万円の頭金と2,500万円のローンを組み、妻が1,000万円のローンを組んだ場合、不動産の75パーセントを夫が所有し、妻が25パーセントを所有しているという事になります。
◇共有名義にするメリット
- 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
住宅ローン控除とはローン残高(毎年12月31日現在)の1パーセントにあたる税金が10年間控除されるというものです。共有名義にすることで、2人分が控除の対象になります。控除される税金とは、所得税や住民税です。10年間2人分控除される事になるので、単独名義と比較するとかなり減税額が大きくなります。
しかし、一点注意をしないと共有名義でも2人分の住宅ローン控除を受けられなくなるケースもあるようです。夫婦それぞれが住宅ローン控除を受ける場合、それぞれ別のローンを組むか、夫婦のどちらか一方が「連帯債務者」となってローンを組む必要があります。
夫の収入では希望額の借り入れが出来ず、妻の収入を合算し借り入れを行う場合は、あくまで妻の立ち位置は「連帯保証人」であり、妻がローンを組む訳ではありません。夫がローン完済までの期間、収入面で手伝う役目なのでいくら持分を持っていたとしても控除は受けられないという事です。
- 相続税の節税
将来、夫が先に死亡し、妻が相続することになった場合、単独名義の場合は不動産の評価額がそのまま課税対象になりますが、共有名義の場合は夫の持分のみが課税対象になります。よって単独名義より、相続する際の負担が軽減される事になります。
◇デメリット
①売却がし難くなる
共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。住み替え等前向きな考えからの売却なら、夫婦意見一致で話は進むと思いますが、離婚など、財産分与等で一方が売却を希望し、もう一方が売却を反対している場合はスムーズに売却ができません。そのまま売却せずに住み続けたいと共有者が希望した場合は勝手に売ることは出来ませんので、かなり時間がかかると思われます。また、単独名義に変更したいといった場合には、金融機関への連絡と承諾が必要になるなど面倒な点もあります。
①夫、妻どちらかが会社を辞めたとき
将来的にどちらかの収入がストップし、ローンを払えなくなる可能性があります。その時は収入のある方が2つのローンを支払っていく事になります。ここでも一点注意が必要になります。例えば妻が仕事を辞め、ローンを夫が代わりに払っていくとなると、ローン返済が贈与とみなされ贈与税がかかる可能性があります。
このように共有名義にすると住宅ローン控除などメリットを受けられるというプラスな面もありますが、その反面、いくつかのデメリットも出てきます。ローンを組む際、妻の収入が必要な家庭もあると思いますが、単に購入後の控除を受けたい、共有で持っている方が安心だという安易な考えで共有名義にするのは少し注意が必要です。共有名義にする場合は将来のもしもの事も頭に入れて決めていく事が大切かもしれません。
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