サブリース契約トラブル多発、賃貸向け住宅融資基準厳格化
先日のネットニュースに、住宅ローンを扱う住宅金融支援機構が今年度から賃貸向け住宅の融資基準を厳格化すると出ていました。アパートやマンションを業者が一括で借り上げ、家賃も業者が一括で支払う「サブリース契約」による賃貸物件が増えており、その部屋の空室の増加が目立つようになったため、将来融資が回収不能に陥る可能性が高いのではないかと判断されたからのようです。
支援機構は、融資をする判断として利用される収支見通しのチェックを厳しくし、また、土地を購入してアパートを建てる場合の土地部分への融資を原則として停止としています。
サブリース契約とは、大家さんが管理会社にお部屋を一括で賃貸し、管理会社が賃借したお部屋を第三者にあたる入居者に転貸する事を言います。大家さんは、家賃の集金や手続き、管理など面倒な点を管理会社に一任することが出来、更に家賃保証もあるので、例え入居者が見つからなくても一定の家賃が入ってくる仕組みになっています。
この上の文だけ見ると大家さんにとって良いお話の様に見えますが、実際には貸主とサブリース会社との間にトラブルが多発しており、国土交通省も注意喚起を公表する事態になっています。
トラブルになる主な原因は、貸主の認識、期待、あるいは誤認だとの事です。サブリースは不動産に詳しくない方が投資や相続税対策として利用する事が多いようなので、良い面だけを見て契約をしてしまうのではないかと思います。
(貸主の認識、期待、誤認)
・30年間(一定期間)、空室の場合でも、一定の家賃が保証されている
・全て管理会社に任せておけば何もしなくてもよい
・ローン返済、その他税金等を支払えばそれ以外は手元にお金が残る
(実際のサブリースの内容)
・入居者が見つからず空室期間が多ければ「賃料減額請求」がある
・実際にサブリース会社に入る家賃の10~20%が手数料として引かれる
・礼金や更新料はサブリース会社の取り分である
・貸主からの途中解約は難しい
・入退去時に発生するリフォーム費用を求められる
・築年数が経過すれば、設備の交換やグレードUPの費用が必要になる
・サブリース会社の倒産のリスクもある
今年3月には支援機構への賃貸物件の融資申請件数が前年度と比べると8割増えているとの事です。審査が厳しくなる事を見越し、駆け込み申請が増えた事、また、審査が厳しくなる前に早めに建築をとセールストークとして使われた可能性があります。
悪徳なサブリース会社でない限り、大切な事は必ず説明があるはずですが、メリット部分だけ頭に残り、デメリット部分は忘れられ聞いてないことになる事が多く、そこからトラブルが発生しているのではないかと思います。
本来なら、サブリース契約は大家さんの味方であるべきです。リスクをしっかり把握しておけばそれを避ける事も出来ます。サブリース契約を検討する際には、不動産会社任せでなく、綿密な調査を自分自身で行う事が大切だと思いました。