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宅建協会の実務研修会に参加してきました

2018/12/11 カテゴリ:新米ママさん

先日宅建協会の実務研修会に参加してきました。今回の研修テーマは「賃貸・売買の契約書と重説における変更点と注意点」でした。

 

重要事項説明とは、契約の前に必ず行われるもので、物件の情報や費用、その他契約について細かく記載されている説明書を相手方に交付し、宅建の免許を持った人が説明をするものと定められています。重要事項説明は必ず対面し説明を行うというものですが、最近では、スカイプやテレビ通話を利用した「IT重説」というものも賃貸契約に限り開始され、ケガで来店が困難な方や、遠方から上京する方などにはとても利点があるとされています。また、更新の定めのない定期借家契約の場合も「IT重説」の活用が可能で、対面による事前説明と同様に取り扱う事が出来るとされています。本来なら、定期借家契約を結ぶ場合、事前説明書を交付して説明を行う事が必須なのですが、いくつかの条件を満たした場合には、重要事項説明を行うことで事前説明書の交付、事前説明を兼ねることが出来るとしています。しかし、このように作業をカットする事で、契約終了時にトラブルになる可能性もあるという事で、トラブル防止には、重要事項で定期借家契約の内容の説明を受けた事につき、契約者から署名・押印をもらう事が望ましいとされているようです。

 

次に、重要事項説明に関する最近の判例として以下の判例が紹介されましたのでご紹介します。

(東京地裁平成28年11月18日) X(買主)がY1(売主)から土地及び建物を買い受け、Y2が買主から依頼を受け、Y3が売主から依頼を受けて同売買契約の仲介をしたという事案です。XがY1、Y2、Y3に対し、本件物件の瑕疵や法令違反があったのに説明を怠ったとして、損害賠償請求をし、一部容認されたものになります。この取引での重要事項説明書には、都崖条例に関する記載は一切なかったのに、実際は都崖条例に違反しており、検査済証も取れていない物件だったようです。買主としては、重要事項説明でこの説明があれば、もしかしたら購入していなかったかもしれないとても重要な事項になります。崖条例があるという事は、建物を建築出来る位置や大きさ、構造などに多くの制約が出てくるので、崖条例があるとないとでは費用に大きく差が出ます。裁判所の判断としては、少なくとも条例違反を解消させるために新たに擁壁を設置する必要があるとし、擁壁設置費用の損害が認められました。崖条例の内容をきちんと把握すること、実際にどのくらいの費用が今後発生するか具体的に説明することがとても重要であった取引だと思います。該当の物件にどのような条例が設定されているか確認を怠らない事が重要であり、今後の取引においても見落としがあってはいけないと思います。

 

次に賃貸の仲介において用途地域が問題となった判例です。

(東京地裁平成20年3月13日)おしぼりクリーニング店を営むXはクリーニング工場として利用するために宅建業者Y及びBの媒介でAから建物を賃貸しました。Xは契約前に利用目的をクリーニング店と伝えていたにもかかわらず、利用しはじめてすぐに用途地域の問題で営業を取りやめるよう是正勧告を受けたという事です。宅建業者Yは確認や告知を怠ったとして、Xは約9,000万円の損害賠償を求めました。このクリーニング工場として借りた場所の用途地域は第一種低層住居専用地域であったため、工場は建築する事が出来ない地域であります。裁判所の判断としては、用途地域を調べれば工場を建てる事が出来ないとすぐにわかった内容であるため、YにはXに対する損害賠償義務があるとされました。Xはクリーニング店を開くということで、物件の裏側に井戸を掘ったり、特殊な造作をしたりかなり費用をかけて準備を進めていたようなので、原状回復費用などで損害は8,000万円ほどになっていたといいます。

 

次に、最近注目されている特約、賃貸借にかかわる諸問題です。

平成23年10月1日以降、全国で暴力団排除条例が施行された事により、賃貸借契約書の約款に(反社会的勢力ではないことの確約)が記載されるようになりました。また、最近では、危険ドラッグや、詐欺グループの活動場所、民泊に利用されるケースも増えてきているようで、確認する意味で契約書に記載されるようになっているといいます。トラブルを防ぐためにも基本の約款に記載がない点は、特約事項で確認する事が大切であるとしています。

また、消費税が増税になった場合の対応として、基本の契約書には、(新消費税率等)という内容が記載されています。増税前に契約をしたものであっても、増税後は当然に新税率で賃料、管理費、共益費を請求できるといった内容です。しかし、この文言があるのに、家主が増税分を当然に請求できるものではないという判例が平成2年に大阪で出ているとのことでした。来年の消費税増税に伴い、消費税の経過措置というものが用意されていますが、この経過措置も契約締結の時期によって適用されない場合も出てくるので注意が必要です。

 

ここまで、研修会に参加して特に気になった内容をまとめてみました。重説、契約書は受け取る側は(買主、賃借人)、正確な情報が記載されていると信じて取引をする事になるので、見落としやミスなどには十分に注意をして日々の業務に取り組む事が大切だと思いました。

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