宅建セミナー(賃貸編・保証制度)
宅建セミナー賃貸編、保証制度
先日参加した宅建の実務研修会より、今回は「賃貸編・保証制度」について見て行こうと思います。賃貸においても変更になる点が多くあるので、見落としのないよう注意が必要になります。
・個人保証の場合、極度額制度が導入される
建物賃貸借契約で、保証人が個人の場合、保証契約に極度額を記入する事が必須となります。極度額の定めがなければ、保証契約そのものに効力がなくなってしまうので、契約を結ぶ際、貸主側は十分注意が必要になります。現在の保証契約では、賃借人が火事を起こした場合や、部屋の中で自殺をした場合などは、連帯保証人がその責任を負う事になっており、保証人の負担する額が高額になることがあります。今回、保証人を保護するという観点から極度額制度が導入される事になったとの事でした。
例えば、極度額を500万円と定めた場合、家賃を何カ月も支払わず賃借人が死亡し、滞納家賃が400万円で元本が確定された場合、別途遅延損害金が付く事もありますが、どれだけ増えても極度額500万円を超える支払い義務は保証人にはないという事になります。
この極度額の設定ですが、基本的には賃貸人、賃借人間で合意の下設定される事になります。記載方法としては、金額指定や、賃料○カ月分というようになりますが、更新時の賃料○カ月分という様な金額がはっきりしない書き方は無効となりますので注意が必要です。
・契約締結時の情報提供義務
事務所や店舗等、事業用の賃貸借契約締結時、賃借人は、保証人をお願いする方(法人は除きます)に対して、財産の状況や他の債務の状況を知らせなければいけない義務が発生します。賃借人がきちんと説明をせず、嘘の情報を伝えるなどし、その後保証契約が締結されてしまった場合は、保証人はその保証契約を取り消すことが出来ます。
・保証人の請求による債務の履行状況の情報提供義務
賃貸人は、保証人から債務の履行状況に関する質問を受けた際は、主債務の元本や利息、違約金、損害賠償、滞納の有り無し、滞納額等の情報を提供しなければいけません。
・元本確定事由
個人根保証契約の主債務の元本は、以下の場合、確定する事になります。
①債権者が、保証人の財産について、金銭債権についての強制執行又は、担保権
の実行を申し立てたとき
②保証人が破産手続き開始決定を受けたとき
③主債務者または保証人が死亡したとき
例えば、賃借人が死亡した後に発生した債務については個人保証人の責任はなくなりますので、家主側の負担が多くなると考えらます。
以上、今回は「賃貸編・保証制度」についてまとめてみました。保証としては、最近では、家を賃貸する際、個人保証人ではなく、保証会社利用を指定している大家さんも増えてきています。保証契約の極度額制度は保証会社には適用されないため、もしもの時も保証会社利用の方が安心であり、今後さらに保証会社の利用が増加するのではないかと思われます。賃貸分野でも民法改正による変更点が多くなっていますので、重要点をまとめ確認しておくことが大切だと思いました。