終身建物賃貸借契約とは?
高齢化が進む中、高齢者の居住を守るために平成13年に作られた制度があります。それは、「終身建物賃貸借契約」です。これは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づいて作られた制度で、高齢者が終身に渡り賃貸住宅に居住出来る契約であり、死亡時に契約が終了となります。この制度は高齢者が自由に居住を選択できるように作られた制度ではありますが、まだまだ浸透しているとは言えないようです。
終身建物賃貸借契約を結ぶ事が出来るのは、大家などの事業者が知事に認可を受けた場合となります。住宅についても高齢者の居住に適した住宅である必要があります。高齢者に適した住宅とは、段差が少なかったり、手すりがあったりと、バリアフリー化がされているかが基準となります。部屋の面積としては、1戸あたりの床面積が25㎡以上であることとされており、居間やキッチン、浴室等もある程度余裕のある造りである必要があり、高齢者が住みやすい物件でないといけません。
また、終身建物賃貸借契約を結ぶには、以下の条件があり、誰もがこの契約でお部屋を借りる事が出来る訳ではありません。
・自ら居住するため住宅を必要とする60歳以上の高齢者
・単身、または同居者が60歳以上の高齢者の親族であること ※配偶者は60歳未満でも良い
また、この事業の利用により、借家人、大家には下記のようなメリットがあるとされています。
- 借家人のメリット
・高齢者になっても入居を拒否されず、住宅を簡単に見つける事が出来る、更新や解約ななど面倒な手続き等もなく最後まで住む事が出来る
・大家からの解約申し入れの事由は「住宅の老朽化等」に限定される
・賃借人が死亡した場合、同居していた配偶者または60歳以上の高齢者は住み続ける事が出来る
・1年以内の仮入居が可能。お試し期間として入居できるので、近所付き合いや周辺環境の状況を実際に体験する事が出来る
・前払い金制度があるが、その分を住まずにもし亡くなってしまったとしても、残りの前払い金を確実に配偶者や相続人に返還出来るよう保全措置がある
- 大家のメリット
・長期間の居住となるため、安定した賃料収入が得られる
・借家人が死亡しても賃借権は相続されないため、無用な空室期間を生む事がない
・相続人の許可を得ず、遺留品の処理等をスムーズに行う事ができる
大家としては、安定した賃料が得られえるといった大きなメリットがありますが、この事業をするには、物件自体をバリアフリー化にする必要や、認可を得るために手続きが必要となるため、なかなか普及しないといった現状があるようです。
「年を取ったら老人ホームに入るもの」という一般的な考えから、高齢者でも好きな場所を選んで自由に居住先を決める事が出来るといったとても重要な制度であるので、要件の緩和や改善が今後更に必要であると思われます。
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