ホームインスペクションとは?
ホームインスペクションの利用者がなかなか増えないというネットニュースを見ました。ホームインスペクションというワードを知っていても、実際に住宅を購入する際に利用する人は少ないようです。
ホームインスペクションとは、「住宅診断」の事で、住宅に精通した住宅診断士が、住宅の劣化状況や、欠陥の有・無、修繕すべき箇所やいつまでに修繕をした方が良いか等アドバイスを行います。
診断方法としては、基本は目視で、屋根や外壁、室内の状況、小屋裏、廊下などの劣化状況を調査する事になります。日本では主に中古住宅を購入する際に用いられており、短時間に目視で行う「一次診断」となります。この診断では、外壁や建物の基礎部分に不具合が見られないか、室内に雨漏りの形跡がないか等住宅の状況を診断し、依頼者に説明をするといった流れになります。一次診断で不明箇所が見られた場合は、次に「二次診断」を受ける事になります。
ホームインスペクションの費用とかかる時間については、日本ホームインスペクターズ協会によると、建物面積が100平米(約30畳)程度の検査であれば、時間は2~3時間となり、費用は、一次診断で5~6万円、機械を用い詳細診断を希望する場合は、10万円以上となるようです。費用は基本的には買主が負担する事になりますが、稀に不動産会社が売主である場合や、不動産会社指定のホームインスペクション会社であれば費用サービスといった物件もあるようです。しかし不動産会社に任せてしまった場合、どうしても売主側の診断結果となってしまうリスクもあるようなので、費用負担は増えますが、自分自身で会社を選択し、調査を実施した方が良いとの見方があるようです。
インスペクションには上記のように時間と費用がかかる事になりますが、メリットとしては、購入後に安心して入居をする事が出来る点が挙げられます。また、中古住宅の流通を活性化させるといった不動産業界全体のメリットもあるとの事です。販売時点で「この中古住宅はホームインスペクション実施済み」と記載されていれば、安心・安全である物件という事を、物件を探している方へアピールする事が出来る一方、他の中古住宅と差別化する事も出来るので、場合によっては相場よりも高い価格で成約となる事もあるようです。また、中古物件は、新築物件と比較した際に、物件についての情報が少ないといったデメリットがありますが、ホームインスペクションが広まる事で、そのような不安等のデメリットもなくなるのではないかという事が期待されています。
ホームインスペクションを実施する注意点については、調査を行う前に所有者の承諾が必要となる点です。所有者の承諾は、調査を行う時期にも関係してきますが、所有者からの承諾がなければ勝手に調査を進める事は出来ません。特にホームインスペクションをよくわからない所有者であれば自分の家を調査されるという事であまり良い気分はしないかもしれません。また、契約前に診断をして悪い点が見つかる可能性もあり、そうなれば契約に至らないという事もあるので、中には拒否をされる方もいるとの事です。ホームインスペクションが広く周知され理解されるようになるまでもう少し時間がかかるのかもしれません。
最近の木造住宅は性能のレベルが上がってきているとの事なので、ホームインスペクションで安全な建物と判断されれば、築年数の建った物件でもその価値が上がり中古物件の見方も見直される事になると思います。利用者がなかなか増えないといったニュースもありましたが、ホームインスペクションを導入する事により、購入後に安心して生活を送る事が出来、将来の修繕の時期や修繕の目安金額も事前に知る事が出来る便利なシステムであると思うので、入居前に是非検討・導入してほしい調査だと思います。