遊休不動産の問題
現在、住宅としての空き家問題が深刻化していますが、それと同時に事業用目的で使っていたビルや倉庫などもテナントが決まらないと言った問題が発生しているようです。築年数が経過している中小ビル等では特にテナント確保が難しくなっているようです。
テナントがなかなか決まらず、空室の状態が長く続く不動産は遊休不動産と呼ばれています。ひと昔前まで活発に建てられ使われていた事業用ビルが、今では空室になり誰も使っていないといった物件が全国に多々あるようです。新しく建て直しをするとなると莫大な費用がかかる他、周辺住民への説明等も必要となり、とても大掛かりな作業になります。
遊休不動産が発生する理由はさまざまな様ですが、個人オーナーの場合、親族から相続をしたけれど、自宅から遠くなかなか管理が出来ない場合や、不動産経営の知識がなくどうしたら良いかわからず放置しているケース。法人の場合では、何かの計画で取得したけれど、不況等の影響でそのまま放置されているケース等が考えられると言います。また個人、法人に関らず、立地や築年数の関係で借り手がなかなか見つからないといった場合もあるようです。
遊休不動産が多くなる事により心配されるのが、犯罪件数の増加という点です。実際には犯罪件数は多くなっていない地域においても、そのようなイメージがつく事で人通りの減少や、商店街では閉店に追い込まれる店舗が増える可能もあると言います。人が集まらない町では管理が十分でなくなるので、更に人が遠のくといった悪循環を生み出す事に繋がります。
遊休不動産を失くすためには、テナントが入りたいと思うような物件である必要があります。そこで最近流行りのリノベーションやコンバージョンという方法の利用です。築年数や設備の古さからテナントが決まらないといった物件の場合は、既存建物はそのままに、新しく生まれ変わらせる事が出来ます。建て直しと違い、工事期間も費用も抑える事が出来るメリットもあります。
例えば、東京の天王洲地区や日の出町地区の倉庫が多くある地域では、利用されていない倉庫がリノベーションされ、店舗や飲食店が入るおしゃれな雰囲気の空間に生まれ変わっています。また、廃校になった小学校はホテルや旅館にリノベーションされている所もあるようです。
このように、遊休不動産も十分有効活用出来るものであり、実際にも収益化出来る例がどんどん増えてきています。遊休不動産は利益を生み出さない負の不動産ではありますが、リノベーションやコンバージョンによって新たに収益を得られる可能性もあるので、ただ放置するだけでなく、どんどん活用するよう心がける事が大事だと思いました。