両親の敷地に家を建てる場合
ご両親の家が建っている土地の一部に、子供たちが家を建てるといった話をよく聞きますが、基本的には一つの敷地に住宅を2棟建てる事はできません。これは建築基準法令の最初に記載があるように、「敷地とは・・・一の建物、または用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう」と規定されているからです。少し難しい一文ですが、「用途上不可分の・・・」とは、その建物を使用するときに、用途を分割できないものを指します。分割出来ないものとして一番わかりやすいのが、小学校や中学校かと思います。多くの学校は、校舎と体育館が別個になっており、一つの敷地に2つの建物が建っているという状況です。しかしこれは、2つの建物が建っていても、校舎と体育館は2つで1つという考え方が当てはまるので、分割をして考える事は出来ず、2つの建物が建っていても良いという事になります。更に住宅で考えると、「住宅」と「車庫」が用途上不可分の関係になります。自宅と車庫は一体として考える事が出来るため、2つの建物が建っていても良いという事になります。
では、はじめにお伝えした、「両親の家」と「子供の家」となりますが、これは別々の住宅であり、用途上普通は分けて考える事になりますので、一つの敷地に2つの建物は建てられないという事になります。
では、余っている両親の土地に子供が家を建てようとする場合どうすればよいのかというと、敷地を分割する事でこの問題はクリアとなり、2つの建物を建てられるようになります。敷地を分割させ、接道義務や、建蔽率、容積率などの問題をクリアすれば、両親の余っている土地に子供が家を建てる事は可能になります。
分割は分筆とは違って、建物を建てる事に対して建築基準法の細かな条件をクリアするという事なので、分筆をするように土地の権利関係は変更なく、両親と子供の間で境界線を決めれば良いという事になります。親子間なら境界線に対し余程の事がない限りもめ事に発展する事は少ないかと思います。
ここで気を付ける点としては、分筆し両親の土地に建物を建てた場合の住宅ローンを組む場合です。ローンを組まない方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、大体の方は住宅ローンを組む事になるので、その場合、親の土地に担保設定が必要となります。
場合によっては、両親が連帯保証人になる必要もあるようなので、ローンを組む前に親子間で十分な話し合いが大切となります。
また、土地分割で両親の土地に家を建てる場合は、自己所有土地以外で建てるという事になるので、一般的には土地所有者に権利金や地代を支払う必要が出てきますが、実の親であれば、地代等請求されない事がほとんどだと思いますので、「使用貸借契約」を結び無償で土地を借りる事ができる事になります。親子間という事で、口約束などで済ませてしまう事もあるといいますが、後々トラブルにならないためにもきちんと契約書を作成することが大切かと思います。